2017年01月11日

和歌山市内の新駅構想など

報道各社で報道の通り、今日、たま+おも電車の試運転が実施されました。意外に似合っていそう?
http://railf.jp/news/2017/01/11/180000.html

さて、上記の記事内の写真が撮影された、貴志川線の日前宮-神前間に津秦(つはだ)駅(仮称)を設置してほしいという地元住民のみなさんの要望活動が活発になっています。先日は2000人あまりの署名が関係各所に届けられたとの情報をいただいております。

もともとこの区間内には実際に津秦駅が存在した時期がありました。当時の写真を見ると板張りの仮設ホームのような形で、現在の津秦天満宮の少し南側に位置していたとみられています。
現在地元から要望があがっているのは津秦天満宮付近。日前宮-神前駅間は比較的距離があり、天満宮や大型病院が近くにあるため、参拝客や通院客の利便性向上が期待できるというのが地元からの要望の趣旨です。では実際にここに駅を設置した場合どうなるのかを探ってみました。

■駅の設置費用
 貴志川線でいちばん新しい駅は交通センター前駅です。自治体からの要望によって作られたことから費用の大半は行政が負担しています。この時の費用が約1.5億円とされています。津秦駅(仮称)もほぼおなじ形で建設されるとなるとほぼ同様の費用がかかるとみられます。年間の収益が3億円台のわかやま電鉄にこの費用負担は事実上不可能で、行政支援が欠かせないとみられます。

■ダイヤへの影響
 一番のネックがダイヤへの影響とみられます。現在貴志川線は日中30分間隔、朝夕のラッシュ時は和歌山-貴志間は35~36分間隔、その間に和歌山-伊太祈曽間の区間列車が加わりその区間は17~18分間隔となっています。
 今回要望が出ている津秦駅ができると日前宮-岡崎前間の所要時間がさらに伸びてしまうことから、現行ダイヤを元に机上で算出すると、運転間隔は日中は和歌山-貴志間で32分間隔、朝夕のラッシュ時は全線で40分間隔、和歌山-伊太祈曽間は20分間隔になってしまい、所要時間も現行より2~6分程度増加する可能性があります(詳しい算出方法は書くとややこしいので割愛します…)。
 これを解決するとなると、竈山駅や大池遊園駅に列車対抗設備を設けることが必要なのですが、これでさらに数億円クラスの投資が必要になってしまいますので費用にも跳ね返ることになってしまいます。

■乗客について
 今回の件は津秦地区を中心とした住民のみなさんが声を上げています。沿線のバス路線が廃止されたことで公共交通機関が身近にないエリアであることは確かなので、必要性は理解できます。あとはどれだけの新規利用者が見込めるか、ということになります。
 仮に津秦駅が開設されると、現在は神前や日前宮駅を利用している人が一部転移してくると思われます。これ以外に天満宮や病院などを利用される方がどれだけ駅を利用されるかという見通しが示すことができるか、が鍵になりそうです。

 費用面、またダイヤへの影響を考えると難しい課題がたくさんありますが、今後どのような議論が展開されるか、見守っていきたいと思いますし、新しい情報が入ればお知らせします。


 和歌山市内にはこのほか、JR和歌山線の和歌山-田井ノ瀬間に新駅設置を求める動きがあります。同駅間には電車の車庫があることから、この敷地の一部を転用することで、用地自体は確保できる見通しはあるようです。和歌山線は最大4両編成ですから4両編成が停車できるホームを備えるとなると、貴志川線よりももう少し高く駅舎自体には3億円程度の費用がかかるのではないかとみられます。
 路線バスが概ね毎時1本走っている国道24号線よりも少し離れているほか、車庫に通うJRの職員さんの利便性向上も期待できることから、JRにもメリットがあります。
 こちらの問題は周辺道路が広くなく駅前をどのように整備するか、そして駅舎も含めた整備費を誰が負担するのかが大きな課題になりそう。周辺では住宅開発の動きもみられることから、うまくリンクできればいいのかもしれませんが…  
Posted by わかやま小町 at 23:29Comments(0)その他の情報

2016年05月30日

和歌山の市電、幻の延伸計画?!

1971年に廃止された南海和歌山軌道線(Wikipedia)、いわゆる「市電」は、和歌山市駅前-和歌浦口-海南駅前(海南線)、公園前-国鉄和歌山駅(新町線)、和歌浦口-新和歌浦(和歌浦支線)の3路線を有していましたが、なんと、幻の延伸計画があった!というにわかに信じがたい情報がもたらされました。しかも、少なくともウェブ検索では探すことができず、まさに知る人ぞ知る計画だったようです。

で、管理人、その幻の路線設計図が和歌山市内に保存されているのを確認しました。
設計図に記載された発注元は京阪電気鉄道。大正末期から昭和初期にかけての和歌山軌道線は京阪電気鉄道が経営しており、その際に計画されたものと見られます。

路線は「青岸線」と称し、当時の真砂電停と病院前電停の中間地点(現在のNHK前交差点、もしくは淺川組本社ビル付近)から西に分岐。現在の砂山公園付近で南に進路を変え、さらに現在の県和商(当時は旧日本軍の駐留地だったようですね)付近で西に進路を変え、そこからまっすぐ西に向かう、というもののようです。終点が現在のどのあたりに相当するのかは地形も変わっており十分な推測はできかねますが、現在の花王和歌山工場付近か、和歌山運輸支局付近ではないかとみられます。


Googleマップの上に、想定されていたとみられるルートを赤線で引っ張ってみました。県和商から魁橋付近には西南西にまっすぐ1本道があり、この道路がアヤシイと思われます。

そんな話聞いたことある!という方がおいででしたらお知らせ下さいませ。  
Posted by わかやま小町 at 23:17Comments(2)その他の情報

2011年01月31日

こんなに違う!交通手段

◆CO2排出量は?
 「2009年版運輸・交通と環境」(交通エコロジー・モビリティ財団発行)等から、1人を1km運ぶのに排出される二酸化炭素量(g)は以下の通りとされています。

徒 歩 0
自転車 0
鉄 道 19
バ ス 51
自動車 168

 鉄道は自動車の約1/9、バスは自動車の約1/3。温室効果ガスのひとつとされる二酸化炭素の排出量を考えると、バスや鉄道は自動車よりも優位であることが裏付けられています。もちろん、徒歩や自転車は燃料を使いませんからそれ自体から二酸化炭素は出されることはありません。


◆カロリー消費量は?

 各種研究論文では、同じ距離を自動車と電車・バスで通勤した場合、消費カロリーは電車・バス通勤が自動車通勤の約2倍とされています。
 状況によっても異なるでしょうが、座ったまま移動する自動車と、移動を伴い、時には立ったまま移動する電車・バスのほうが消費カロリーは高いようです。
 ちなみに、1時間の自動車通勤をする消費カロリーは、サイクリングに換算すると1/4の時間で消費されるだそうです(日本人の栄養所要量から算定した枚方市資料より)。


◆では具体例で見ると?
 たとえば、JR和歌山駅から和歌山市役所まで約2kmあります。この区間について、交通手段で比較しましょう。

◇CO2排出量(g-km)
 徒歩・自転車 0
 バス 102
 自動車 336

◇カロリー消費量(kcal)
 徒歩 102(所要30分と仮定)
 自転車 64(所要15分と仮定)
 バス 29
 自動車 13

◇料金
 徒歩・自転車 0
 バス 片道220円
 自動車 片道17円(燃費15km/l、130円/lの場合)

 これだけみると、自動車は安いようにみえますが、ここには目的地の駐車場代、自動車の購入代金や維持管理コストなどは一切含まれていません。総額200万円の自動車を10年使用したとした場合、運転しなくても1年あたり20万円、1日あたり547円の計算です。維持管理経費は別にかかります。それを考えるとどうでしょう・・・?

 つまり、自動車だけにたよると、とても高コストな生活を余儀なくされていることになります。ドアtoドアの利便性も大切ですが、時と場合によっては電車・バス、徒歩・自転車などを組み合わせて、健康にも環境にもお財布にもやさしい生活を考えるのも一手かもしれません。  
Posted by わかやま小町 at 00:00Comments(0)その他の情報